
建設協力金契約のポイント
建設協力金 (建築協力金とも言います)付きの建物賃貸借契約書を見ていて、土地所有者側で見ると、専門家として感じることがあります。自分でお金を借りて(または自己資金で)建物を建てるやり方と比べて、有利不利を検討する必要があります。
有利な点は
1.テナントが最初から決まっている点
2.受け取る協力金が借入でなく保証金であるため金利がかからない
一方、不利な点は
1.建物が賃借人のためのもので転用がききませんので見直し時の家賃交渉がしにくい点
2.賃借人の倒産の処理が複雑
3.相手側の撤退のときの残務処理が複雑
4.受け取る地代が低くても分かりにくい
契約主体者による有利不利です。この建物を法人所有とするか?個人でするかという点です。これは今後発生する収入に関してかかる税金に大いに関係してきます。法人なら法人税・事業税・住民税で、個人なら所得税・住民税です。法人の場合は借地の形態を決めなくてはいけません。
家賃の問題です。建物に関して家賃が発生します。更に本来土地が使用される訳ですから地代も入っているはずです。事業用の定期借地権の地代の相場が参考になるはずです。建物賃貸借契約書を見ていて、安い家賃の場合にこの考察があったのかと疑問に思えるときがあります。建物を建てると資金繰りの問題が出てきますので、慎重に事を運んでいただければ幸いです。
NO.708〜710 2006.04.21〜23
事業用の定期借地権
事業用の定期借地権のご相談です。これは
10年から20年以下の期間の範囲で借地人に土地の貸付を行い、契約期間終了後には、必ず土地所有者のもとに貸し付けた土地を返還されるものです。ロードサイドの土地の有効利用の一つです。
これは定期的収入を得られ、預かり保証金も無利息で預かり、契約終了時に返還するものです。この方式は 建設協力金方式と
違い、建物の建築が不要で、資金繰りが楽な方式です。地代は駐車場としての賃料と比較して受けた提案の良否を判断しているようです。
この場合の土地の相続税評価はどうなるでしょうか?
1.200平方メートル分の
小規模宅地の50%評価減
は使えます。
2.更に定期借地権の評価として5%(残存期間が5年以下)から20%(残存期間が15年を超えるもの)を引けます。 (評価基本通達25)
1000平方メートルの土地の評価が4億円だとしますと、賃貸開始時に20年残っていますと20%の8千万円がまず引けます。さらに差し引き3億2千万円のうち小規模宅地の評価減として200/1000分の50%である3200万円も引けます。土地の評価は4億円-8000万円-3200万円で2億8800万円になります。
契約時に無利息の保証金を
6000万円預かっています。これは定期借地契約終了時に返すものです。この債務は相続税上どう計算するのでしょうか?
無利息の場合は保証金の金額×残存期間に応ずる基準年利率による複利現価率で計算されます。(評価基本通達27-3) 平成17年の基準年利率は1.5%
でその複利現価率は20年の場合0.752です。
計算は6000万円×0.752=4512万円です。20年後に返す6000万円は今の価値にすると4512万円なので、債務はこの金額になるということです。
NO.671〜673 2006.03.15〜17
土地有効利用。建設協力金(建築協力金)方式の注意点
借地権を発生させないために、テナントさんが建物の建築代金を建設協力金と言う名目で土地所有者に無利息で融資し、建物を地主が建てるという形があります。建築協力金(建設協力金)方式と呼ばれています。
この建設協力金(建物が完成した後は保証金)は、賃料収入と相殺して返済するというものです。この方式ですと、土地所有者が直接銀行から借入するのとは違って、テナントが途中撤退しても担保が補償(通常、テナントからの途中解約は保証金放棄)されること、賃貸住宅経営のように入居率の心配がなく賃料収入が安定しているということが利点と言われています。
この方式にはキャッシュフローで見ると2つの問題点があります。一つは家賃改訂の問題です。もう一つは、所得税・住民税です。
1.家賃改訂の問題です。大家さんの意見を聞いていますと家賃交渉は貸主が強く出るのは難しいようです。交渉が不調に終わり、出て行くとなった時、借り手仕様の建物であるため、後に入る人が限られるからです。逆に借主の業績が悪くて
…という理由で家賃の引き下げを求められたりするようです。
2.所得税・住民税の問題です。家賃収入が入ります。そのためにかかる費用は、固定資産税・減価償却ぐらいです。そこで差額の所得が出るため、所得税・住民税がかかります。さらに保証金があるので返済が必要です。これでキャッシュフローはマイナスになることもあります。提案があったときに所得税・住民税まで考えた提案でなかったため、結果を見て驚いたとなることもあるので要注意です。
「後から見ると設備投資が不要な駐車場のほうがキャッシュフロー上良かった。」と聞くことも良くあります。
NO.642〜4 2006.02.14〜16
アパート・マンション建築の損得分岐。ここがポイント
地主さんのところに、アパート・マンション建築が良く薦められます。土地有効利用としての提案です。土地を寝かしてはもったいないです。さらに相続税対策としても良いです。これは良く記述されています。
アパート・マンション建築のリスクは資金繰りです。その建物が朽ちるまでの期間で、投資額が回収できるかどうか?です。固定資産税・金利はもとより所得税・住民税まで入れて、投資額より幾ら余分に入ってくるかがポイントになります。これが土地に対する資金繰り的なリターンとなります。
NO.535 2005.10.30
建設協力金方式の損得分岐。ここがポイント
地主さんのところに建設協力金でお店を建てて欲しいと頼む方が現れます。ロードサイドの土地で、その店はお金を貸してくれて、その店独自の建物を建ててくれといいます。入ってくる家賃が返済に回りさらに地代相当額が家賃として入ります。リスクは撤去です。借入は無くなるようですが、建物は残ります。他のところへ貸せれば良いのですが …。取り壊しに幾らかかるかがリスクです。原状回復費用を賃借人に持ってもらいたいものです。
NO.533 2005.10.28
相続対策としてのアパート建築
「相続対策上アパート建築は有利ですか?不利ですか?」と言う質問をいただきます。このご質問は医師の世界で言えば、「この薬は効きますか?」に似ています。病気的に言えば、そんなに心配ないときの薬は、出来るだけ使わないほうが良いようです。効くか効かないかのご質問には、答えにくいとお医者さんに聞きました。相続対策でも同じことが言えます。相続税が無い場合、簡単に払える場合は、対策はそんなに必要性は無いのです。むしろ土地の有効利用として、駐車場のままが良いか?アパートを建築したほうが良いかでご判断いただければ良いと思います。
アパートのメッリトは土地の評価減と建物の評価が安いことが上げられます。これによる相続税の節税が考えられます。ただし最大のデメリットは空室リスクです。資金繰りが悪くなることがあります。そして賃貸収入には所得税と住民税がかかり、税引き後で返済していかなければいけません。総合的にメリット・デメリットを勘案して決めてください。
アパート建築の最大のデメリットは空室リスクです。資金繰りが悪くなることがあります。新しいときは良いのですが
…。そして賃貸収入には所得税と住民税がかかり、借金は税引き後で返済していかなければいけません。収入が駐車場より多くなりますが税金も多くなります。この場合税引き後のキャッシュフローを比較します。そして駐車場の設備投資額とアパートの設備投資額を比較します。何年で元が取れるか計算します。通常は、駐車場と比べると、キャッシュフローで言えば、建築しないほうが有利と出る場合が多いようです。
最近こんな地主さんと出会いました。「損得からいうと建築はしないでしょう。ただ優良な賃貸住宅を作りたいのです。少しでも入居者が喜んでいただければこちらも嬉しいです。」と言われました。「益は無くても意味がある。」そんな実践を見て、聞いて、しびれました。
NO.508〜10 2005.10.03〜5
採算より理念。住みたいような賃貸住宅
「お金がかかっても良い住宅を作ってください。住む人にとって緑と安らぎがある良い住環境を
…」と言われたある資産家の方の言葉を今でも忘れることは出来ません。通常賃貸住宅を経営するとなると、どうしても採算性が気になります。その結果、省かなくてはいけない部分が残念ながら出てきます。「自分が住みたいような賃貸住宅を作って欲しい。」なかなか言えない事。これがその方の口癖でした。居住空間を考え、生活環境を考えた、そして何より町並みを考えた賃貸住宅。15年経った今、その一角は、結果として土地の値段も上がっているようです。
NO.357 2005.05.05
大家さんの味方が語る新空室リスク対策
資産家の応援のヒントを得ようと賃貸住宅フェアに行ったときの事です。珍しく大家さん側に立って応援している専門家に出会いました。住宅メーカーさんや建築会社さんの味方になる人は多くいますが、大家さんの味方になる人はごく稀です。その人がスーパーアパマン経営コンサルタント
(有)FPコミュニケーションズ 代表取締役浦田 健さんです。そこで実例を是非テープにしたいとお願いして実現した企画です。テープのタイトルは
入居率95%でも100%の家賃収入を得る秘策
8連発 です。
NO.355 2005.05.03
アパート・マンション建築。所得税・住民税の増税は要注意
「アパート・マンションを建築すると節税になりますか?」
相続税から見るとそうです。土地の評価が下がり、建物の評価が買った値段より安いからです。
所得税・住民税から見ると増税です。
所得税・住民税は所得に課税されます。アパート・マンションは収入から経費を引いてさらに減価償却を引きます。されど所得は残り、所得税・住民税は残念ながら増えます。
キャッシュフローから考えますと、この所得税・住民税の増税は注意を要します。このことは新聞記事にも、建設会社のパンフ・セミナーでは言われませんのでなおさら注意が必要です。
NO.255 2005.01.21
借地権はそのままか?解消するか?
借地権を持っている方からの御相談です。地主さんから相続対策に買って欲しいという相談が来たそうです。理由は地主さんから見れば底地は、相続税の所有土地に入り、収益力は低く、現金化したいものです。たしかにそのとおりです。
借地権者として選択肢は、借地契約のまま、底地の購入、交換、借地権の売却とあります。ほんとは借地契約のままが有利なのですが…。借地権は相続できますから、あわてずじっくり、交渉する話しだとアドバイスしました。
(用語の意味)
借地権:土地を借りている借地権者の権利。土地の一部の割合の権利を有している。場所によっては9割から4割程度まである。
底地:地主さんの権利。土地の全部を所有していると思いがちだが、実は1割から6割程度の権利である。借地権と底地を合計すると土地の時価になる。
交換:広い土地になると借地権者さんと地主さんで半分づつ所有権にしましょうというもの。借地権者さんから見ると半分の借地権を渡して半分の底地を確保する。その結果半分の完全所有権の土地を取得できる。
NO.75 2004.07.25
相続対策アパート・マンション建築の長所・短所
相続対策はアパート・マンションを建てると良いという記述をよく見かけます。
良いところは財産評価が下がります。(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)だけ評価が下がります。1億円の土地の場合1億円×70%(借地権割合)×30%(借家権割合)×100%(賃貸割合)=2100万円評価が下がります。さらにアパートを5000万円で購入したとして評価は通常3000万円×(1−借家権割合30%)=2100万円になります。ここでも5000万円−2100万円=2900万円の評価減が出来ます。土地で2100万円建物で2900万円で合計5000万円の評価が下がったわけです。
デメリットもあります。資金繰りです。入ってくるお金と出来ていくお金(借金返済・支払利息・所得税・住民税等)を比較して出て行くお金が多いことが良くあります。相続税は安くなるが、資金繰りは厳しくなるというのが良く聞く話です。
相続対策をする場合は、デメリットもきちんと伝えてくれる人をそばにおいておくと良いようです。
NO.43 2004.06.23